発達障がい てんやわんや 日記

発達障がいもちの しおり と 定型発達である 有里さんの ドタバタ日常。

段取りがわからない

遊里庵では、今年の9月1日に、高烏谷山登山と山頂コンサートのイベントをしました。
遊里庵は高烏谷山の裾野にあって、いつも散歩している神社は森の中にあり、山頂にも神さまが祭られています。そこまで歩いて、お弁当を食べてコンサートというイベントです。

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私は、来てくれる人のお弁当作りを担当したのですが、そこでもハプニングが・・・!

 

前日、私はピーマンの肉詰めを作りました。そこで、なにを思ったのか、参加してくれる人のアレルギーについて聞かなければ!と使命感に燃え、参加者に連絡をとりました。

 

メニューを決め、買い物もすませ、すでに明日、焼くだけでおかずになるものを作った後です。

 

そして、アレルギーや苦手なものを聞いた後、なんでも大丈夫という返事や、これやあれが、避けてる食べ物だよと連絡が届き始めました。

 

その中に、すでにピーマンの肉詰めに使っている鶏肉、コショウなどの香辛料を避けている人がいました。私の脳はフリーズ。どうしたらいいのか、わからなくなって有里さんに相談しました。

 

有里さんから、そのタイミングでアレルギーのことは聞かないんだよ。もし、聞くとしてもメニューを決める前。

 

なぜ、しおりちゃんは聞いたの?そう、有里さんに質問されたとき、私は有里さんが別のイベントの時に、アレルギーなどを聞いていたことを思い出したから、質問を参加者にしたと言いました。

 

そして、あとで私はこの質問を、だれも食べられないものがない前提で質問をしていたことに気づきました。

 

有里さんは、とてもびっくりして呆れていました。その質問は、料理をする人が食べる人のことを思って、愛から聞いているということで。しおりちゃんの質問は人の真似ってこと?と。

 

なぜ、その質問をするのか理由がわかっていないので、質問をする適切なタイミングがわかりません。

 

だから、物事の順番が前後して、段取りがわからず、周囲を困惑させてきました。

 

今は有里さんが、質問の意図や意味を私にわかるように伝えてくれます。なので、次回同じようにご飯を作る機会がくれば、メニューを決める前にそういう質問をしたり、しなくてもいいときは連絡しないという選択ができるようになっているはずです。

 

しおり

 

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しおりちゃんの文章が明るくなっている。

 

起きてる出来事を客観的に見て、自分の行動のヘンテコさ加減をギャラリーのみなさんと楽しむ余裕が出て来たって感じ。

 

昨日だったか、虹のうたクラブの会報を2月に作る計画を相談してたら、しおりちゃんが「たのしいなぁ」って言った。その言葉は穏やかな幸せに満ちていて、そんなしおりちゃんを初めて見た気がした。。

 

しおりちゃんの現状を知っているのがわたしとわたしの数人の友達という状況が変った。心が緩んできている。隠していたことが開示されて、不安が消えた。

「心配」の概念が分からず、「借りる」と「もらう」の区別がつかなかったのは、つい先日のことだったけれど、「しあわせ」がまいおりてきた。


それは、読んであったかいメッセージをくれている友だちのおかげだと思う。「できないこと」が理由で人は離れて行かない。愛=ありのままの自分を愛することが、つながりの始まりなんだと、知らされた気がする。

また、特筆しなくてはいけないのが、昨日、しおりちゃんが、お母さんと電話で1時間も話せたことだった。お母さんは、このブログを読んでしおりちゃんの発達障がいを初めて知った。

発達障がいだと知って、ご両親がどう受け止めるか心配していた。悲しませてしまわないか?受け入れてもらえるか?と。

すると、「今まで辛かったでしょ。」と、知った直後なのに、落ち着いてねぎらってくれたそうだ。

それは、しおりちゃんにとっては、門出。ご両親を喜ばせる自分でありたいけどそれができないことをずっと悲しんできたと思うから。ご両親がありのままを受け入れてくれたら、もう、みんなと同じふりをしなくても良くなったよね。

世の中に無理して自分を合わせるのではなくて、ありのままの「自分」に、世界が対応してくれる。

だから、前向きに明るくなったんだね。

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(9月1日の朝食)



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先日、しおりちゃんと一緒に、小谷村でひらかれた「メンタルヘルス市民大学」にシンガーとして参加した。

 

講師は、東京は調布の心の居場所レストランの「クッキングハウス」の代表の松浦さん。精神病院にケースワーカーとして勤めていた松浦さんが、病院では心の病は治らないと感じ、地域にひらかれた心の居場所レストランを創設した。

ご飯を一緒に料理して食べて、働ける人は働き、心の学びをして、地域で暮らし、回復しているメンバーたちが60名以上いて、メンタルヘルス大学にはスタッフも入れて10人以上が参加し、当事者研究の発表も、すべての人に役立ちそうな深い内容でした。

その時、松浦さんが、フィンランドの小さな病院から、世界に広がっている心の病を治す画期的な療法「オープンダイアログ」を紹介され、なんだかピンと来たのです。

 

オープンダイアログ(ひらかれた対話)は、本人抜きで治療法を決めず、医者とスタッフが、本人をサポートする家族や友だちの現場に出向いて対話を重ね、本人の心身が回復してゆく関係性を共に作ってゆく療法で、8割の患者さんが社会復帰を遂げているという。

この日記は、しおりちゃんとわたしとみなさんのオープンダイアログ(オープンな対話)ではないかと感じている。

一人一人の違いは蓋を開けてみれば驚くほどなのですが、その現状を知れば素直にびっくりする。そこを体感して、そのうえで気を取り直して、お互いに助け合う方法を探ってゆく。


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出来事が起こる時は、いつだって時間のリミットの中。わたしは、毎回、びっくりして、呆れて、なぜなのか質問して、原因を探し、次回は、うまく行くように、対話している。 

ハイキングの前夜、しおりちゃんはお弁当担当だった。下ごしらえがばっちりできてうれしかったのだろう、みなさんに「食べれないもの」を問い合わせたが、お返事が予想に反していた。「なんでも食べれます」というお返事を期待していたらしい。

今更メニューを変えられないと相談されて、わたしは、イベントページに、すでにもう料理されてしまっていることを報告して、食べれないものもあるかもしれないけど、食べれるものもあるよ~みたいなメッセージを載せてから、しおりちゃんに語ること数時間・・・(笑)

人に質問する時は、まず 相手への関心、気遣いが始まりだということ。しおりちゃんは、相手への関心や気遣いではなく、「はーい、元気ですか?」みたいな「軽い挨拶」のつもりで、「食べれないものはなんですか?」と聞いてしまった。

質問を重ねてゆく。

料理を出された後で、他のメニューを出す気のない人が「今日はなにを食べたいですか?」と聞いてきたら、しおりちゃんはどう思うか?

歌手がコンサートを終えてから帰る直前に歌うつもりもなく、「今日は何の歌が聞きたいですか?」と聞くかどうか


いろんなケースを質問する。

リクエストに応じられるタイミングでないと聞いても意味がないことを、たくさんの例を挙げて 本人の納得行くまで説明し続けているなんて、なんてことだろう。
この1年5か月、なんどもなんども、このように相手に伝わるまで、情熱をもって話してきた。

誰もが分かってると思い込んでいた事柄が、さっぱり意味も分かりませんと困ってる人を目の前にして、心底戸惑いながらも、どこかで共通認識を得られるはずだと、ひとつも諦めずに、つながる回路を探し続け、今日まで一緒に暮らしてきた。

どこかで回路がつながると、ぼんやりしていた顔が、ぱっと明るく明確になる。

学んだことは確実にできるようになるが、応用ができるようになるのは、いつのことだろうか?

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ところで、この数か月 畑でずっとコスモスが咲いている。家じゅうにコスモスを飾っているけれど、しおりちゃんには、新鮮なコスモスと日数が経って元気のなくなったコスモスの見分けがつかないことに気がついた。

わたしは、畑から連れて帰ったばかりの元気なコスモスの花瓶の前を通ると、
いのちの力、美しさに感動して、「きれい!」と毎回見て褒めたたえてしまう。

花瓶の水の汚れも気になって、時間があれば毎朝、水あげをしている。

しおりちゃんは、水の汚れや、花が弱ってゆくことに気がつかないので

ある時聞いた。

「しおりちゃん お花を見てどう思う?」
「はい、花だなと思います。」

 

「感動しない?元気をもらわない?」

「いえ、花があることは分かります。」

でも、そのしおりちゃんが幸せを感じていた。

ありのままの自分が中心で生きると感覚が柔らかくひらいてゆく。

これからどうなってゆくんだろうね。楽しみだね。

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しおりが遊里庵(有里の自宅)に暮らし始めたいきさつは、こちらから読めます

しおりちゃんが、遊里庵(ゆうりあん・有里の自宅)にやってきた - 発達障がい てんやわんや 日記

 

 

 

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